この21世紀になっても、まだオカルトや心霊話というのは人々の興味を引くらしい。さすがに昔のようなチャチな心霊写真などは消えたが、それでも「幽霊を見た」「不思議な体験をした」などという話は尽きない。ネットでも「本当にあった怖い話」とか「私が体験した心霊現象」などといった話題はいくらでも出てくるし、そういうものを読むとやはり本当に幽霊はいるのかとも思ってしまう。

しかし、いろいろと調べてみるといわゆる「霊現象」というものは実際は何か物理的な原因があったり、受け手の認識が引き起こすものがほとんどだと分かる。物理的な原因に関してはその場その場で調べなくてはならないが、認識の問題は医学や心理学で説明がついてしまうものだ。一般には単なる「見間違い」とか「思い込み」と言われている現象にも、実はいろいろと専門的な名前がつけられて研究されている。

もちろん、全ての「心霊現象」と呼ばれるものが医学や心理学で解明されるとは限らないが、いろいろな「心霊体験」でも落ち着いて読めば、実はそれがよくある身体的現象であることも多い。そういう現象はいわゆる医学や心理学のトリビア情報ということになるのだろうが、それを知っているだけで無駄な心配をしなくても済むものである。

ただ、自分ではよく分からない不思議な体験というものは、つい「不思議な説明」を求めてしまうものだ。幽霊を見ました、と言われて「それは単なる錯覚です」と返されるよりも「それはその場にやってきた霊が…」と言われた方が、何となく本当のように思えてしまう。これは体験者が「もしかしたら本当に幽霊がいるのかもしれない」という一種の期待感を持っているからだと思われるが、そういう気持ちにつけ込んでくる輩もいることを忘れてはいけない。